プロフィール
エイダ・ローデン
平和を好む人間の王。目立った行動はせず、いつも穏やかに笑っている。前回のリスピア公会議では、大陸における和平協定を結ぶことに成功した。周囲の人間は、彼が誰にでも手を差し伸べることから、「救いの王」と呼んでいる。彼は今まで亜人の王以外に姿を見せることはなかったため、彼は人間と亜人の王のみにしか知られていない。一人称は、「ワシ」。
あなたの情報
・あなたは、少し先に起きる事象が見える「未来予知」の能力を持っています。このリスピア大陸の中で起こりうる未来が、断片的に自らの脳裏に浮かびます。どの未来を見ることができるかは自分の意思では決定できません。
・「未来予知」の能力で見ることができた事象は、「変わることのない未来」です。つまり、未来を見た後でエイダ自身が行動を起こしても、その未来は変わる事はありません。
メインミッション
・あなたはこの事件の被害者となるべき存在である。
悪王として振る舞い、他の登場人物に殺害されるよう行動すること。
・このリスピア大陸の人間、獣人族、海人族、竜人族、妖精族の5種族が、
互いに手を取り合うことのできる未来を実現させること。
サブミッション
・自らの真意を誰にも悟られることなく、全ての王たちの記憶から消えること。
0:00「準備」
「寝室」で鏡を見ると、ワシは自分の姿に驚いた。
ここ3月の間、ロクに睡眠をとっていなかったせいか、
目は充血し、頬はこけてしまった。
しかし、この10年で全ての準備が間に合った。
ローデン城の周りには魔法防壁を貼り、
魔法制御の方法も書物に記すことができた。
月日が流れるのはあっという間だったが、
どうやら、間にあわせることができたようだ。
ワシは鏡に向かって、もう一度笑顔を作ってみるが、
やはり不気味な笑みや、嘲笑の笑みに見える。
まるで、「悪魔」に取り憑かれたかのように。
先ほど、ワシは、全ての王を傷つけるような事を言った。
もともと、彼らの求めるものは、カタリアにはなかった。
そう考えると、この10年、ワシは彼らを騙し続けたのかもしれない。
ワシは「寝室」から「玉座の間」へと移動する。
すると、リリーが音を立てずに、中へと入ってきていた。
ワシが気づかないふりをしていると、
リリーは「寝室」の方へと移動した。
やはり魔法図書を探しているのだろう。
目的のものは、そこにある。
きっと、すぐに見つけられる。
なあ、リリーよ。
お前の魔法が、きっと、皆を救ってくれるはずだ。
すると、扉が強く叩かれた。
0:10「ドラゴ」
「玉座の間」の扉を開いたのは、ドラゴだった。
ドラゴは、ワシに言った。
「考え直すおつもりはないのですか。」
しかし、ワシは彼に背を向けたまま冷たく言う。
「そんなものはない。
お前にも分かるだろう。この大陸には秩序などない。
だからこそ、力による支配が必要なのだ。」
ワシは、強い口調でそう言った。
0:20「走馬灯」
「やはり、あなたは変わってしまった。
10年前の約束を果たすときがきました。」
そういうと、ドラゴはワシに爪を突き立てた。
そのとき、薄れゆく意識の中で、
ワシは、スタンとの記憶を思い出した—
なあ、スタン。
ワシがどうしてこんな賭けをしたと思う?
お前は、10年前、ワシに夢を語っただろう?
5種族の王たちが、
1つになった世界を見てみたいと、お前はいった。
ワシは、あの時、無理やり笑顔を作ることしかできなかった。
「救いの王」なんていわれてるが、ワシには何もできなかったのだ。
なあ、スタンよ。
お前には死ぬまで言ってはいなかったが、
ワシもお前と同じ能力を持っていたんだ。
そう、「未来予知」の力だ。
しかし、お前とは違う点がある。
それは、ワシ自身が行動を起こそうとも、
その「未来」は、絶対に変わり得ないということだ。
10年前、カタリアで「悪魔」と話した時、ワシには見えたんだ。
本当に、5種族の王たちが、手を取り合う「未来」を。
しかし、そこにワシの姿はなかった。
それはつまり、その「未来」が実現するとき、
ワシはこの世にいないということだ。
このまま、この「悪魔」を放っておけば、
力を悪用する者も現れるはずだ。
後世に先送りになどしたくはなかった。
それに、この「悪魔」という者も不憫に思えてな。
こいつのことも、ワシは救いたかったのだ。
なあ、ドラゴよ。
辛い役をさせてしまってすまない。
しかし、ワシの記憶が消えれば、
その罪の意識も消えるだろう。
ワシの記憶は誰にも残らない、それでいい。
このリスピア大陸が1つになること、
それを成し得るのだから。
本当に、本当に、素晴らしい人生だった。
スタン、ヴァル、マリン、ドラゴ、リリー…
この大陸の「未来」を、頼んだぞ。
ドラゴがワシの背中から爪を引き抜く。
すると、周囲に血が流れ出ていく、目の前が暗くなっていく。
そのとき、ワシには、ドラゴの「未来」が見えた。
そこにいる堅物のはずのドラゴは、
慣れない顔で笑っていた。
ワシは、その「未来」を見て、穏やかに笑った。
あー、えっと、まあこんな感じだ。
俺様は、コイツのことは、よくは知らねえけどよ。
コイツは、本当に幸せに死んでいったはずだぜ。
少なくとも、俺様はそう思ってる。
え?なんで、わざわざこんなこと話すのかって?
まあ、いいじゃねえか。
俺様は、人の悪意から生まれた悪魔だ。
それが、こうやってお天道様に還れるなんて思っちゃいなかった。
だから、なんつーかさ…
これだけ、いいヤツのことを誰も覚えちゃいねえってのは、
どこか寂しい気がしてよ。
ありがとな、エイダ。
お前に、救われたよ。
この大陸の亜人や人間たちは、
コイツのことを思い出すことはねえだろう。
もちろん、思い出しちゃならねえからな。
だけどよ、神様達。
あんたらぐらいは、
コイツのこと覚えておいていてくれよ。
それじゃ、俺様は行くよ。
アイツが無茶しないように見張らなきゃならねえからよ。
そういうと「悪魔」は、あなた達の目の前から消えていった。