レイド 「支配からの解放」
解放条件:自殺であることを突き止める
「死罪にならなかっただけ有難いな。
慈悲をかけてくれたことは、感謝するよ。」
俺は皮肉のように言うが、
エリザには全くと言っていいほど、響いてはいないようだった。
ただ、首を横に振るばかりだ。
エリザは、俺の前に立って歩く。
父さんがこいつを初めて連れてきたとき、
「誰も信じない大人ぶったガキだな」と感じた。
そして、「俺の鏡写しのような性格をしている」とも感じた。
エリザの他の何者も信じない、その冷徹さはまるで自分自身のようだった。
そういえば、俺はなぜ花火が鳴った時、
「投票の儀」をすぐに行わなかったのだろう。
無理矢理にでも行ってしまえば、
奴らは互いを疑いあったまま、投票に入ることもあっただろう。
それをしなかったのは、
俺は俺自身が裁かれることを、どこかで望んでいたからだろうか。
俺は少しため息をついて、父さんの言葉を思い出した。
お前は、自由になれ。
それが、父さんの最後の願いだった。
俺は、ハレル村をもう一度だけ振り返る。
いつもと同じで、厚い雲に覆われているこの村が、
俺には、どこか今までと違って見える気がした。
俺は、ハレル村を背に一歩を踏み出した。
その時、俺は初めて自由を感じたのだった。
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