宝ヶ池奈津 設定
ここに書いてある内容は、「ミステリーゲーム」の推理には、ほとんど影響しません。推理は、「マーダーゲーム」内の時系列と証拠品のみで完結いたしますので、自己紹介や担当するキャラがどのような人間であるか理解するためにお読みください。
私が殺しをしてる理由?
あれ、あんたには、まだ言ってなかったっけ?
「宝ヶ池家の子供は「宝」を持って生まれてくる。」
そんな言葉が、私たちの家系では、ずっと受け継がれてきた。
確かに、世界的なピアニスト、オリンピックの日本代表、内閣総理大臣…
宝ヶ池家の人間は、生まれつき、多くの「宝」を持っているみたいね。
でも、宝ヶ池家のことなんて、あんた達、殺し屋ぐらいしか知らないでしょう?
「宝ヶ池」という姓は、外の世界に向けたものではないから。
「宝」を持ってこの屋敷の外に出ていった人間は、
「宝ヶ池」の姓を捨て、表向きの人生を歩む。
そういう、よく分からない変わった家系に生まれたのよ、私は。
え?私は何の「宝」を持って生まれてきたのかって?
何もなかった。何もなかったのよ、悪い?
いや、あるにはあるか。「宝」というには、程遠いけどさ。
私は、先天的な「解離性同一障害」を持って生まれてきたの。
世間一般でいう、2重人格っていうやつかな。
人格が切り替わった時の記憶は、夢みたいな感じでぼんやりと残る。
人格が切り替わるタイミングは大きく2つ。
1つは、私に精神的な負荷がかかっていること。
もう1つは、睡眠をとったり、意識を失うこと。
この状況が重なった時、私は「もう1人の私」に切り替わる。
「もう1人の私」が、平和で優しい奴ならよかったんだけど、
そんなに、上手くはいかないよね。
彼女は…いや、彼なのかもしれないけどさ。
「もう1人の私」は、いつも何かを壊そうとする、暴力的な人格だったんだ。
だから、兄弟は私を家に閉じ込めて拘束してた。
「こんな子は、外の世界に出せない」って。
みんな私を恐れて、猛獣を見るような目で見ていたんだ。
唯一優しいのは、私のお母さんだけだったなあ。
でも、私はずっと諦めなかった。
お母さんが読み聞かせてくれた、
童話のお姫様みたいな人生に憧れていたんだ。
だから、最後には、かっこいい王子様が迎えにくるんだって信じてた。
ただ、現実にはカボチャの馬車も、魔法使いもいない。
私は、家族に閉じ込められて、そして変わらなかった。
そして、私の気持ちは、ある時爆発した。
私が唯一信じていたお母さんが、私の兄弟に殺されたからだ。
私は、「もう1人の私」に身を任せて、兄弟を全員殺害した。
王子様は、迎えにきてはくれなかった。
私は自分の足で、あの家を出て行ったんだ。
その後、私はたまたま拾われた劇団で、冴えない舞台女優となった。
脇役ばかりではあったけど、何かを演じることは、気を紛らすには良かった。
あー、もしかするとさ。
私がもらった「宝」っていうのは、「殺しの才能」だったのかもね。
兄弟を殺したあの時から、私は殺人衝動が止められなくなったんだ。
私が、殺しの標的にしたのは「赤の箒」という新興宗教団体だ。
私の兄弟は、全員そこの信者だった。
お母さんを殺したのも、教祖の命令によるものだとわかったんだ。
だから、その教祖の男を暗殺をしようとしたんだ。
でも、そんなに上手くいかないよね。
側近の人間を何人か殺した後、私は逆に追い詰められた。
私の使う毒薬である『眠り姫』も、取り上げられた。
周りの人間に薬を注射されて、意識も朦朧とした。
流石に、死を覚悟したよね。
でも、朦朧とした意識のなかで、
私の人格は「もう1人の私」に切り替わった。
そして、
「もう1人の私」は誰かと格闘した。
意識が完全に戻った時には、
目の前に全身の骨が折れた教祖の死体があったんだ。
その時の記憶は、ほとんど残ってはいない。
私の全身の筋肉は痛み、両手は血まみれになっていた。
汚く、醜い殺し方だ。
捜査員はこの犯行を行った人間を、
「ヴァイズ」と呼んで捜査しているけど、
おそらく、私にたどり着くことはないと思う。
そういえば、信者の追っ手が来るかと思ったけど、
幹部は次々と殺され、繋がりのある政治家も死んでいたみたい。
優秀な殺し屋が、残党を駆除しているんだと思う。
そして、捜査員が私に付けた通り名は「ウィッチ」。
私は、お姫様になるはずが、付けられたのは毒林檎を渡す魔女の名前だ。
なんか皮肉みたいで、とてもイライラする。
そんなこんなで、私は目的を失った。
新興宗教団体は崩壊し、残党も殺し尽くされちゃったしさ。
1人、幹部の残党がいるとは聞いたけど、行方も分からない。
だから、あなたに会いに来たんだ、ガレッド。
もういいでしょう、私の話は、これで終わり!