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プロフィール

宝ヶ池 奈津(26)

職業:劇団女優

細身で美しく若い女性。普段は小さな劇団の女優をしている。殺し屋の中では有名な、特殊な才能を持って生まれるとされる「宝ヶ池家」の血筋である。非常にわがままな性格であり、周囲のあらゆる面倒事を嫌う。

〜あなたの情報

・あなたの通り名は、大きく2つある。普段の人格は「ウィッチ」、暴力性のある人格は「ヴァイズ」に対応する。

・あなたの通り名は「ウィッチ」である。白雪姫に毒を盛る魔女(ウィッチ)に由来する。犯行方法は、毒殺である。即死性の猛毒を用いるが、混入経路は特定されていない。

・あなたの通り名は「ヴァイズ」である。標的の遺体の骨が、万力(ヴァイズ)で潰されたように粉々になっていることに由来する。人体の一部を、素手で捻じ切ることができるほどの怪力を持つ。犯行には、素手を用いるが、人間の出せる限界を超えた力ではあると考えられている。

・あなたは、2重人格である。あなたは、普段冷静な性格である。しかし、自分に危機が迫った状態で睡眠状態に至ると、別人格である暴力性が出てくる。もう一つの人格に切り替わると、記憶は朦朧とした状態となる。

・あなたは、毒薬『眠り姫』を針に塗布し、それを指で弾いて標的の体に命中させることで、 体内に毒を摂取させるという殺害方法を用いる。





メインミッション

あなたが、最も達成すべき目標です。

サブミッションよりも優先して、達成を目指してください。

・あなたは、自分が事件の犯人であるか定かではありません。もし、犯人が自分であると考えるのであれば、自分と自分の「通り名」が最多得票にならないように行動してください。一方、他の人物が犯人であると考えるのであれば、その犯人と「通り名」を結びつけ、投票してください。

ー「「もう一人の私」が木屋町を殺したのかどうか分からない。私が気を失っていた時の様子を、他の参加者に聞いてみるのがいいかもしれないね。疑われないように、うまく立ちまわる必要はありそうだ。」





〜サブミッション〜

可能な限り、多くのミッションを満たすように行動してください。メインミッションの達成ができなかった場合には、すべて達成は無効となります。

・自身が2重人格であることを他人にバレないようにすること。

ー「「もう一人の私」のことが知られることは、私にとって不都合だ。」

・「通り名」に対応する人物を全て明らかにしてください。

ー「誰がどの「通り名」に対応するかわかれば、きっとうまく立ち回ることができるはずだ。」





メインシナリオ

12:00「解放」

「それでは、宝ヶ池奈津を解放します。」

アナウンスが鳴り響くと、上蓋が開いて光が差し込む
私は、突然の光に耐えきれず、目を閉じてしまう。

だんだんと目が光に慣れてくると、
自分は全ての壁が白塗りの部屋にいることがわかる。

先ほどのスクリーンでは、「通り名」は5つ表示されていた
そのうち、私は「ウィッチ」と「ヴァイズ」の2つに対応する。

「通り名」に投票するこのゲームで、
私だけ不利なのは納得がいかないが、仕方がない。

「おい、誰か外にいるのか?早く俺も外に出せ!」


野太い声の男が、カプセルの中から叫ぶ。

私に必要なものは、「倉庫」か「薬品庫」にあると考えられる
あと5分もすれば、そろそろ次の殺し屋が解放されるはずだ。

まずは近くにある「倉庫」へと向かうために、
私は「カプセルルーム」の北側の扉を開けた。


12:10「倉庫」


「それでは、竹下波瑠を解放します。」

アナウンスが鳴り警戒するが、竹下はどうやら薬品庫に向かったようだ。
私は倉庫のドアを開けるが、そこには主に刃物や鈍器、ワイヤーのようなものが揃っていた。この中で、特に目を引くものは、大きく二つある。

一つは、特注のネイルハンマーのようなもの
確か、名称は「ワンショット」。

使い手にもよるが、1撃で標的を昏睡させるという触れ込みの代物だ。
何度も補修した後が目立っており、年季が入っているように思われる。

もう一つは、ダイヤモンドが散りばめられたワイヤーのようなもの
触るだけで、皮膚が裂けてしまいそうなほど鋭い。

いずれにしても、私の目的のものではなかった。
私は、「倉庫」を出ようと扉に目を向ける。


すると、その時だった。私は、目当てのものを見つけた。
それは、裁縫用の針である。

なんの変哲も無いただの針ではあるが、
これに毒薬である『眠り姫』を塗布すれば、凶器に変わる。
あとは、『眠り姫』を手に入れるだけだ。


12:15「アラーム」


「「薬品庫」で武器が同時所持されました!」


私が周りを見渡していると、大きな警告が発された。
私の次に解放された人間である竹下によるものだろうか。


私の武器の『眠り姫』は間違いなく「薬品庫」にあるはずだ。

私は、警戒しつつも「大広間」を通って廊下に出ると、
「薬品庫」のドアノブへと手をかけた。


12:20「竹下との対話」




「それでは、貴船歩由を解放します。」

アナウンスが新たな人物の解放を告げる。

ドアを開けると、年をとった男性が椅子に座りながら、薬品を眺めていた。
この老人が竹下に違いない。椅子の横を見ると、杖が置かれている。
武器らしきものは、何も持ってはいなかった。

「ねえ、ジロジロ見られるのは、あんまり好きじゃないんだけど。」


私は、イライラして親指を強く噛んだ。



「いやいや…気にしないでくれ。

 あんたがあまりにも綺麗なんで、見とれてしまったんだ。」


「そんなこといって媚びたって、殺すときは殺すけどね。」


「おお…こわいこわい…」

竹下は、そう言って立ち上がると、
杖を右手で掴み、ドアを出ていった。

その時、彼の右手に何か違和感のようなものを感じた。
どこか不自然な動きに見えたのだが、気のせいだろうか。

一見、武器のようなものは持っていないようだが、
先ほどのアラームからするに、必ず所持はしているだろう。


12:25「眠り姫」


私はそのまま「薬品庫」で『眠り姫』を探す。

私はテーブルの上にあるいくつかの薬品に手を伸ばす。
私の使用していた『眠り姫』は比較的見つかりやすい位置にあった。
私は『眠り姫』が取られていないことに安堵し、ため息をついた。


そこで、私はハッと気づく。
どうして、こんなにも手に取りやすい場所にあるのだろう。

私はそこでラベルを凝視する。
すると、ほんの些細ではあるが、
ラベルが貼り直されていることに気づいたのだ。


「あいつ…!」


私はイライラしながら呟き、親指を噛む。



『眠り姫』のラベルは、何か別の薬品と交換されているようだった。
私がこの毒薬を使うことを知っていたのかはわからないが、
竹下は、用意周到に構えていたのだ。


ラベルを貼り替えたものはどこかにあるはずだ。
私は、同じようにラベルが不自然に貼られた小瓶を探す。

「これだ…」



私は小さく呟く。
見つけたのは、麻酔薬である『テイパー』とラベルが貼られた小瓶だ。


大量摂取すれば、死に至ることもあるが暗殺には不向きだろう。
こちらも同じく、ラベルの表示が少しズレていた。
つまり、2つの小瓶のラベルが入れ替わっているのだ。



私は、『眠り姫』の入った『テイパー』の小瓶を手に取った。
竹下はこの小細工に私が気づいていないと思っているに違いない。


油断した時、殺し屋は一番脆くなる。


私は、この『眠り姫』を用いて竹下を暗殺することを決意した。




12:30「解放」




「それでは、木屋町亜貴を解放します。」



アナウンスが最後の人物の解放を告げた。




12:35「遭遇」




私は竹下を探して、「大広間」へと入る。
すると、そこにいたのは木屋町だった。

「おい、女。貴船はどこに行った?」


彼は、私にそう怒鳴るように言う。


「こっちには来てないよ。倉庫にでも向かったんじゃない?」


私がそう言うと、木屋町は私に背を向ける。

「エミリーを、あいつから取り戻すんだ…」


木屋町はそう呟くと、左手で思い切りドアを閉めて倉庫へと向かった。

よくわからない名前が聞こえたが、そんなことはどうでもいい。

竹下はどこへ向かったのだろう。
私は竹下を殺すために、廊下に出て探すことにした。

しばらく歩いていると、竹下が「資料庫」の中に入っていくのが見えた。
私は、少しドアの前で中に入るタイミングを見計らうことにした。


12:40「ブレーカー」


私が付近を見渡していると、
このフロア全体の電気を管理するブレーカーの存在に気づいた。
これは好都合だ。

闇に紛れて毒針を打つことができれば、犯行現場を見られることもない。
私は、ブレーカーを落とし、即座に「資料庫」で竹下を暗殺することに決めた。

私は「倉庫」で見つけた裁縫用の針に『眠り姫』を塗布する。
準備は万端だ。

私がブレーカーをオフにすると、
ロウソクを吹き消したように、フロア全体の電気が消えた。
私は即座に「資料庫」へと入る。




12:45「暗殺」


部屋は照明が消えたことで、暗闇に包まれた。

しかし、わずかな非常灯のおかげで、
暗闇の中でも、竹下の体の輪郭が見えている。

いつもと同じように、やるだけだ。
私は『眠り姫』が塗布された毒針を、竹下の右腕を狙って放つ。

「「資料庫」で戦闘が開始されました!」

「「防音室」で戦闘が開始されました!」



アラームが二回続けて鳴り響いた。


「うっ…!?」


竹下は声を漏らす。どうやら、毒針は右腕に命中したようだった。

私は一度その場を離れることとした。
竹下が完全に死体となってから、第一発見者を装えばいい。
私はドアを閉じ、廊下を進んでいった。


「大広間」に着いた時、照明が再び点灯した。
すると、「防音室」の西側のドアが開く音がした。


私は「防音室」で何が起きたのか気になり、
「大広間」から外に出て、「防音室」の中に入った。


12:50「意識」


「「大広間」で戦闘が開始されました!」

「防音室」に入ると、アラームが鳴り響く。
どうやら、誰かが戦闘を行っているようだ。

そして私は時計を見る。
先ほど竹下に毒を盛ってから、3分が経過していた。
『眠り姫』の毒が体に回った頃だろう。


「あれ…?何これ…?」


私が、「防音室」を出ようとドアノブに手をかけた時、
身体がまるで言うことを聞かなくなり、そのまま地面に倒れてしまう。

眠気に襲われたのではない、何か薬のようなものを盛られたようだ。
私は、完全に油断していたのだ。

毒使いが毒で死ぬなんて、馬鹿みたい。

そう思いながらも、私の意識は、そのまま薄れていった。


12:55「もう一人の私」


私は、少しの間、体の制御ができなくなった。
きっと、「もう一人の私」に切り替わったのだろう。


ここからの意識は朦朧としていて、ほとんど覚えていない。


私は、まだ「防音室」にいた。
ぼやけた視界のみが目に写り、
鼓膜は破けてしまったかように外部の音は遮断されていた。

気づくと、目の前に、私に向かって左手で何かを振りかぶる男がいた。
私はその男の攻撃を避け、右手を思い切り握りしめた。
すると、男は苦しんでいるように見えた。


私は男に突き飛ばされるが、痛みは感じなかった。
私はもう一度その男に近づいた。胸に向かって拳を振り上げる。
その時の相手の表情は覚えていない。


最後に覚えているのは、私の両手に暖かい液体がかかったことだ。
私の視界は、真っ暗になった。


そのまま、私は「防音室」で倒れた。


??:??「刃物」



しばらくした時、私の横に誰かがいるのがぼんやりとした視界で見えた。

その人間は、血のついた刃物のようなものを手に取り、何かを呟いた。

その後、私は、再び意識を失った。


13:10「終了」


「マーダーゲームが終了しました!「大広間」に集合してください!」

けたたましく鳴り響くアナウンスの音で目を覚ます。
天使のファンファーレにしては、やけに騒がしかった。

私は、「防音室」で倒れたままだった。
しかし、視界は鮮明になり、聴覚も元に戻っていた。


アナウンスの声に従い、まだふらつく足で大広間へと向かう。

ドアを開けると、私は表情には出さないものの、光景の異様さに目を疑った。
そこには、私が毒で殺したはずの竹下が座っているのだ。
余裕そうな表情で、椅子に腰掛けている。
杖は床に置いたままだった。


そして、その正面に腰掛けているのは貴船だ。
彼は、全身に返り血を浴びており、不気味に笑っていた。


何より異様なのは、テーブルの上にあるモノだ。
それは、木屋町と思われる人物の頭部だ。
ただ、それは何度も殴られたように歪んでいる。
間違いなく、生きてなどいない。


私は冷静を装い、テーブルの横の席に着席する。
だんだんと、目が覚めてくると、自分の体に異常があることに気づいた。
私の全身の筋肉は痛み、両手は血だらけになっているのだ。
擦り傷などないことから、これは自分以外の誰かの血だろう。


私は意識を失っているとき、もう一つの人格になったはずだ。
「もう一人の私」が木屋町を殺したのだろうか。
何にせよ、まずは状況を確認しなければならない。



「今から、「ミステリーゲーム」を開始します!」



再び、アナウンスが鳴り響く。
どうやら、ここはまだ天国ではないようだ。
そして、地獄は今から始まるのだろう。





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