プロフィール
チャルド(38)
あなたは、このハレル村で科学者をしている男性だ。あなたは、都市リーヴァからこの村にとある研究のためにやってきた。滞在は短期間の予定であったが、そこで出会った女性であるベルと親密になり、ついには結婚することとなった。しかし、「おにさがし」の決まりにより、ベルはこの村から追放されてしまう。彼女の笑顔が見られなくなってしまった今、あなたにはその研究しか残されていない….
あなたの情報
・あなたは、ハレル村で科学者をしている。元々はこの村の出身ではなく、この周辺の風土病である「ヒデリ病」の研究のためにリーヴァから自ら望んで訪れた。
・あなたの最愛の女性であるベルは、「おにさがし 」で追放された。外部の者と接触した罪であるとされたが、詳細は聞いていないため、どうして彼女がそのような行動に出たのかはわからないままだった。
・この村の人間はあまり信用してはいない。このことから、「ヒデリ病」の調査についても、ロージュとベル以外にはあまり話すことはなかった。イメルダが毒により命を落としてから、この村の住民は科学や薬物に不信感を抱いているようだ。そのため、詳しい調査内容については、あまり触れたくはない。
PM:6:40「ある推測」
窓を覗くと、今日が満月であることに気づく。
私は、ふいに、ベルのことを思い出した。
私と彼女と子供の3人で暮らす夢はもう叶わないだろう。
ただ、彼女には幸せになっていてほしいと、心から願っている。
ベルのいない私に残されたのは、
この村に来た理由である「ヒデリ病」の研究だ。
存在しないと考えていた薬草だが、一つだけ思いつくところがある。
この村では夜間に出歩くことは禁止されているが、
満月が出ている今日にしかできないことだ。
思い立ったら始めるのは、科学者の性分だ。
早速、私は簡単に身支度を整え、大きなカバンを持ち、
ヒグレ山へと続く屋敷に向かうこととした。
PM7:00「旧道」
「正面玄関」を使っても良いが、エリザと会えば事情を説明するのが面倒だ。
私は、広場から屋敷のある高台へと続く「旧道」を目指す。
背後を見ると、アッシュがホープとともに歩いていた。
さらに「旧道」を進んでいくと、途中で1人の少年とすれ違った。
これほど遅い時間に出歩いている事に違和感を覚えて立ち止まるが、
私は行うべきことを思い出し、そのまま「旧道」を進んだ。
PM7:30「バーニーの姿」
「旧道」を上がり、屋敷のある高台に到着する。
すると、屋敷の玄関の扉が開く音がした。
反射的にそちらに目を向けると、そこには、バーニーの姿があった。
私は、気づかれないようにその場から離れようとしたが、
彼女からは、視線のようなものを感じた。
おそらく姿を見られてしまったに違いない。
屋敷の中では、何者かが話しているようだった。
私は、足早にヒグレ山へと向かった。
PM8:10「光る野草」
ヒグレ山の山頂に到着すると、
付近に怪しげな光が点在していることに気づいた。
その光を注視すると、それは野草から放たれたものだった。
私は、「ヒデリ病」の研究でこの村に来訪した。
当時はこの村にしか生えていないという野草を探していたが、
もしかすると、この野草こそが目的物なのかもしれない。
私は夢中になって、その野草を採取した。
目的のものを採取し終えると、それらをカバンに詰めて家へと戻ることにした。
PM8:30「山道」
山道の中腹部で、誰かとすれ違った。
何かを両手で抱え、ヒグレ山の頂を目指して登っていった。
こんな夜更けに何をしているのだろうか。
私は、そのまま屋敷のある高台を目指し、「山道」を下った。
先ほどまで快晴だった空には、雲が浮かんでいた。
PM8:50「何者かの影」
エリザの家の裏手で、誰かが立っていた。
その者は、何か刃物のようなものを手に持っているように見えた。
こちらには、気づいていないようだ。
「旧道」を降りる際に、すれ違うことになるだろう。
怪しい人物とは関わりたくはない。
どうやら、エリザは家の中にいるようだった。
そのため、自由の祠の前を通り、「正面階段」から広場へと下ることにした。
ふと屋敷を見ると、「執務室」の窓は開いたままだった。
内部の様子はよくは見ていないが、誰かいたのかもしれない。
ロージュのものと思われる机の下には、鍵と手紙のようなものが落ちていた。
また、「自由の祠」の中に目を向けると、何かの影が床の上に見えた。
それが人なのか物なのかはよく分からなかった。
そして、祠の裏には、誰かが隠れているような気配があった。
私は不気味に思い、そのまま足早に「正面玄関」へと向かった。
PM9:00 「爆発音」
「正面階段」を降りている時、
山の方から、何かが爆発したかのような音がした。
その方向に目を向けてみるが、何もなかった。
気づけば、小雨が降り出していた。
PM9:20「野草の光」
広場に出て、カバンの中の野草を確認する。
雨で月の光が遮られてはいるが、野草はまだぼんやりとした光を放っている。
しかし、数が減っているようにも思えた。
おそらく、どこかで落としてしまったのだろうか?
PM9:30「疑念」
すると、いつのまにかレイドが背後に立っていた。
走ってきたのか、彼の息は荒かった。
彼はこちらに、疑念の目を向ける。
「チャルド、この村に「侵入者」がいるという連絡があった。
ちなみに、ルーデルの医師が差出人となっている、お前宛の手紙も発見した。
今は、エリザが保管しているが何か知っているか?」
レイドは、まるで取り調べを行うように冷たく言い放つ。
なにやら物騒なことになっているようだが私には関係ない。
私宛の手紙というのはどこか気になるが、イタズラか何かだろう。
「すまないが、私は何も知らない。
やらなければならないことがあるのでね、失礼するよ。」
私は、そうレイドに言い残すと、足早に住宅街へと向かった。
気づけば、雨はその激しさを増していた。
帰り道で屋敷の方から銃声のような音がしたが、
ここからでは様子はよく分らなかった。
PM10:00「訪問者の形跡」
自宅に到着し、扉を開けようとドアノブをひねる。
すると、ドアに泥のようなものが付着している事に気づいた。
それは、子供の背丈ほどの高さにあり、拳の形であった。
私が留守にしている間に、誰かが訪ねてきたのだろうか。
もしかすると、レイドのいう侵入者ということもあり得る。
家に入り、カバンをテーブルの上に置く。
中には、山から採取してきた野草が入っている。
しかし、量が減ってしまっている。
ひょっとすると、いくつか落としてしまったかもしれない。
その草を取り出してみると、あの時に放っていたような光は消えていた。
やはり、満月の光に呼応して発光するのだろうか。
私は本棚の資料をかき集め、この野草の正体を探ることにした。
PM10:10「銃声」
屋敷の方から、何やら先ほどと同じ銃声のような音が聞こえた。
私は一瞬窓をあけて様子をみてみるが、何も分からなかった。
私はすぐに机の前へと戻り、この野草の分析を再び始めることにした。
PM10:30「鬼灯草」
私は分析するために、野草をすり潰して粉末状にする。
分析の結果、この野草は毒草の一種であることが分かった。
おそらく、猛毒の部類に当たるだろう。
また、この野草には奇妙な性質があることに気づく。
粉末の状態では無臭だが、中量の水と反応すると非常に特殊な匂いを放つ。
なんとも形容し難いが、まるで果実のような匂いだろうか。
おそらく、直接この気体を嗅いでしまうのは危険だろう。
部屋の中に甘い匂いが充満してきたため、窓を開けて換気をすることにした。
甘い匂いは、少しずつ窓から外へと流れていく。
外を見ると、雨はすでに止んでいた。
また、毒草からは、「ヒデリ病」を治療する成分が検出された。
あとは、この毒性を中和させることができれば….
私の胸は、これまでにないほど高鳴った。
PM 10:40「祖母の手記」
「完成した….!」
私は液体の入った小瓶を手に取る。
目の前にあるのは、夢にまで見た「ヒデリ病」の治療薬だ。
決め手となったのは、祖母の書いた薬品の調合書とメモ書きであった。
そこには、鬼灯草と呼ばれる毒草と
その毒の中和の方法についての情報が記述されていたのだ。
鬼灯草の特徴は、この光る野草と合致していた。
私は藁にもすがる思いで、鬼灯草をその記述どうりに調合した。
すると、鬼灯草の毒性のみが消え、
「ヒデリ病」の原因となる因子を取り除く解毒効果のみが残ったのである。
諦めていた、「ヒデリ病」の治療薬の完成だった。
私は、その液体を小瓶に入れ、それを眺めた。
あれほどまでに欲していたものが、こうもあっさり手に入った。
高揚感とともに、少し寂しさが脳をよぎった。
私が感傷に浸っていると、ドアをノックする音がした。
不審に思い、小瓶をとっさに懐にしまい、ドアに近づく。
PM11:00「謎の少年」
ドアを開けると、そこにいたのは、泥だらけの小さな少年だった。
そういえば、先ほど「旧道」ですれ違った者だ。
「あなたが….チャルドさんですか?」
少年は、私の方を見ると明るい表情になった。
「ああ、私がチャルドだ。君の名前は?」
私が尋ねると、少年は慌てて答える。
「僕の名前は、フォードです!
チャルドさんにずっと会いたかったんだ….!」
フォード….聞いたことのない名だった。
それに、なぜこんなにも夜中に訪ねてくるのだろうか。
「すまないが、もう夜も遅い。
用件があるのならば、明日にしてくれ。
きっと、両親も心配なさっていることだろう。」
私は、フォードという少年に向かって、諭すようにいう。
すると、彼の顔はみるみる暗くなり、涙目になる。
「お願い、お母さんを助けて!」
彼は、私に懇願する。
その顔は、冗談で言っているようには見えなかった。
「君のお母さんが?
この村に、重病の患者などいなかったと思ったが….
彼女の名前はなんというんだ?」
少年は、すぐに返答した。
「お母さんの名前はマリー。
妹の名前は、ゲルダっていうんだ。」
どちらの者の名前も、聞いたことはなかった。
「僕は、この村の外から来たんだ。チャルドさんに会うために。」
ハレル村は周囲を山々で囲まれており、正面の門は固く閉ざされている。
容易に入れるとは、到底思えない。
そういえば、先ほどレイドは侵入者がいると言っていた。
もしかすると、この少年がその人物とでもいうのだろうか?
その時、誰かがこちらへと歩いてくる。
私達は、反射的にそちらへと目を向けた。
「チャルド、お前に話さなければならないことがある。」
その声の主は、レイドであった。
彼の声は、どこか震えているようにも聞こえた。
深夜「侵入者 」
時計を見ると、既に12時を過ぎたところだった。
レイドは、少し焦りを隠しきれない様子で口を開く。
「先ほど、この村の村長であり、
俺の父親であるロージュが殺害された。
チャルド、お前は「おにさがし」の参加者に選ばれた。」
「ロージュが殺された….私が参加者….?」
このハレル村の村長のロージュが死亡した。
突然のことで、私は、その事実を受け入れられずにいた。
どういう経緯で私が選ばれたのかは分からないが、
想定していなかった展開に困惑していた。
もしかすると、ヒグレ山に登り、
鬼灯草を採取したのがバレているのかもしれない。
「あとで屋敷の方へ来てもらう。
「おにさがし」は、本日の朝6時より開始する。」
「承知した。」
突然のことだが、受け入れるしかあるまい。
私は、首を縦に振った。
レイドは屋敷に戻ろうとする素振りを見せたが、
目を注意深くこらし、私の後方へと視線を向けた。
「チャルド、お前の後ろにいる子供は誰だ?」
レイドは、ゆっくりとこちらに近づく。
「ああ、先ほど私を訪ねてきたフォードという少年だ。」
レイドは、少年の顔をまじまじと見る。
その、目つきは段々と鋭くなっていった。
「この少年フォードは、おそらくエリザの言っていた侵入者だ。
こいつも「おにさがし 」の参加者になるだろう。
今から、屋敷へと連れて行くこととしよう。」
レイドはそう言って、フォードの手を引っ張る。
しかし、フォードは必死に抵抗し、助けを求める目をこちらに向ける。
私は、大きくため息をついて、口を開く。
「レイド、その少年は私の客人のようだ。
「おにさがし 」には、私が連れて行こう。」
私がそういうと、
レイドは不機嫌そうに「分かった。」と呟き、屋敷へと戻った。
私は、フォードを家へと迎え入れた。
「レイドは、お前のことを「侵入者」だと言っていた。
それは、事実なのか?」
フォードは、私の質問に対して食い入るように答えた。
「本当だよ….僕はルーデルから来たんだ。
そうだ、チャルドさんに渡すものがあったんだ。」
フォードはそういうと、泥だらけのカバンから何かを取り出そうとしている。
しかし、中には望みのものがなかったようで、その場に立ち尽くしてしまった。
フォードの顔を見ると、疲労と眠気のせいか今にも倒れそうだった。
私は彼にベルの使っていたベッドを貸すと、シャワーも浴びずに寝てしまった。
なんとも、幸せそうな寝顔をしている。
それを見ていた私も、ヒグレ山を登った疲れからか睡魔に襲われる。
私も部屋の明かりを消し、そして眠りについた。
朝「おにさがし 」
目が覚めると、フォードの姿はなかった。
私は、先に屋敷へ向かったのだと思い、「正面階段」を登る。
エリザの家の裏に目を向けると、そこにはフォードが座っていた。
私が近づき声をかけると、フォードは慌てて何かをカバンに隠した。
そして、その顔は明らかに怯えていた。
私は少し疑問に思うところはあったが、彼を連れて屋敷の中へと入った。
屋敷に入る時、フォードは他の参加者について何も知らないことに気づいた。
そこで、簡単ではあるが彼に他の参加者について軽く説明した。
中に入ると、参加者は全員揃っていた。
「よし、全員揃ったな。
アッシュ、バーニー、チャルド、ディーダ 、エリザ、そして…フォード。
この6人と、進行役の俺とで「おにさがし」を行う。」
レイドによると、参加者はここに集まった人間全員だということだ。
ロージュを殺した犯人は、本当にこの中にいるのだろうか。
そして、この少年は一体何者なのだろうか。
信用できる人間など、この村の中にはいない。
あまり情報を共有などしたくはないが、
真相を解明することには寄与するとしよう。
しかし「ヒデリ病」の治療薬については、誰にも明かしたくはない。
10年前の事件でベルは追放され、ジャックとジェニスは処刑された。
治療薬の存在が知られれば、何かの理由をつけられ奪われる可能性もある。
ベルのいない今、私に残されたのはこの研究しかない。
私はなんとしてでも、この治療薬を守り抜かなければ。
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